「インフラの老朽化に伴う集約と再編、マネジメントシステム」に関する要点(その2 背景)
インフラの集約と再編を考えるときに大切なのはその背景をきちんと理解することと、そのプロセスを多方面から考えることです。
背景には、その1でも述べた通り、インフラの老朽化と維持管理の費用増大及び人員不足が要因としてあります。また、目に見えない要素として現在のインフラが時代にマッチしていない(市民、国民の要望と一致しない)ということもあるかと思います。
つまり、集約と再編は維持管理を適切にできるようにしていくことと、豊かな暮らしを実感できることを目指すものといえます。
インフラ維持費の見通し等は国土交通省の資料などを参考にすればわかります。特に厳しいのが道路橋です。2024年にはおよそ75%が建設後50年を経過するという数字が出ています。これに対し維持管理費は30年後(2048年)には事後保全では12.3兆円必要となります。令和5年度の国の道路関連予算がおよそ5.3兆円ということを考えるといかに巨額の維持費が必要になるかがわかります。
一方、予防保全を行えば約6.5兆円におさえられます。それでも莫大な費用が必要になります。
つまり、現状のインフラを維持していくのであれば予防保全に移行していくことは必須であり、それでも費用が大きくなるので今のうちから集約と再編を行い、適正かつ効率的なものにしなければいけないということです。
さらに現時点でも補修が必要なものが既に存在します。近い将来に実施しなければいけない維持工事と、中長期的な視点での予防保全を同時に考えなければいけません。
一方で、住民のニーズにマッチした地域の特性に合わせたインフラを維持管理していくことが求められます。今までのインフラ投資は必ずしも要求にマッチしたものとは言えません。また、隣接する自治体が独自に計画するため重複したり、過剰になったりするものもあります。これについても統合整備する必要があります。以下に住民のニーズや要望をくみ上げ、それを自治体間の協力で整備していくか、さらにその合意形成をいかに行うかが重要となります。
これらの背景を考慮した時の課題が集約と再編ということになります。(添削指導についてはこちらから)
(つづく)
*文中の数字は令和5年度のものです。詳細な数値については必ず各位にて資料を確認して確かめてください。