過去問と予想

過去問と予想

昨年に引き続き、令和7年度の予想問題を考えました。こちらから

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必須科目Ⅰ(600字×3枚)
 建設部門全般に共通するテーマについての問題です。

2024年の出題
a)  全国的なネットワークの形成、地域マネジメントの構築を通じて持続可能で暮らしやすい地域社会を実現するための
 方策について
 ①多面的な観点から課題を3つ抽出、②最重要と考える課題に対する複数の解決策、③解決策を実施して生じる
 波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項、④業務遂行にあたり技術者としての要件と留意点
b) DXの活用によるインフラの事前防災・減災対策により災害後の復旧・復興を効率的に進めていくことについて
 ①復旧・復興にDXを活用する際、人員・予算に限りがあることを前提に課題を3つ抽出し内容を記述、
 ②最重要と考える課題に対する複数の解決策、③解決策を実施しても新たに生じるリスクとそれへの対応策、
 ④業務遂行にあたり技術者としての要件と留意点
2023年の出題
a) 巨大地震に対して地震災害に屈しない強靭な社会の構築を実現するための方策について①課題を3つ抽出、
 ②最重要と考える課題に対する解決策、③解決策を実施しても新たに生じるリスクとそれへの対応策、
 ④業務遂行にあたり技術者としての要件と留意点
b) 2013年以降これまで行われてきた社会資本メンテナンスに関する取り組みを踏まえ、
 ①これからの取り組みにおける課題を3つ抽出、②最重要と考える課題に対する解決策、③解決策を実施しても新たに
 生じるリスクとそれへの対応策、④業務遂行にあたり技術者としての要件と留意点
2022年の出題
a) インフラへの国民理解を促進しつつ安全・安心で豊かな生活を実現するための①課題の抽出、②課題に対する解決策、
 ③解決策を実施した時の波及効果と懸念事項への対応策、④業務遂行にあたり技術者としての要件と留意点
b) 建設分野におけるCO2排出量削減及びCO2吸収量増加のための取組を実施するに当たり、①課題の抽出、②課題に
 対する解決策、③解決策を実施した時のリスクと対応策、④業務遂行にあたり技術者としての要件と留意点
2021年の出題
a) 「循環型社会」の構築に向けて建設分野における①課題の抽出、②課題に対する解決策、③解決策を実施した時の
 波及効果と懸念事項、④業務遂行にあたり技術者としての要件と留意点
b) 「災害対策」に関して①課題の抽出、②課題に対する解決策、③解決策を実施した時の波及効果とリスク、
 ④業務遂行にあたり技術者としての要件と留意点
これ以前の出題
 2020年度:少子高齢化とインフラの維持補修、
 2019年度:生産性向上と国土強靭化
 となっています。

「災害」、「インフラの維持管理」、「インフラ整備の在り方」、「循環型社会」、は大きなテーマとして毎回どれかが
類似した問題で出題されると考えていいと思います。


選択科目Ⅱ-1、Ⅱ-2(各600字×2枚)

選択科目Ⅱ-1(600字×2枚)専門知識が問われる問題です。
2024年の出題
1) アーク溶接により鋼材を接合した際に生じる可能性のある溶接欠陥を2つ挙げ、それぞれの欠陥を説明し、その要因と
 留意点を述べよ
2) 軟鋼及び高張力鋼について、引張試験から得られる応力-ひずみ曲線を機械的性質に関する用語とともに図示せよ。
 軟鋼と高張力鋼の 特性の違いを踏まえつつ、応力-ひずみ曲線から得られる機械的性質について3つ以上説明せよ。

2023年の出題
1) 鋼構造物主部材の損傷(腐食による断面減、疲労亀裂、変形)のうち1つについて損傷個所を特定したうえで補修方法
  及び設計と施工の要点
2) 共用期間中の鋼部材に生じる亀裂の部位と種類を特定し、検出するための非破壊検査について2つを選択し概要と特徴を
  示す
3) プレキャスト工法を用いたコンクリート構造物の事例について設計上の留意点(2点)と対策
4) 寒中コンクリート施工の気象条件を概説し品質を確保する上での料移転を2項目選び対策を述べよ

2022年の出題
1) 鋼構造物の腐食防止(2種類)の概説と機能劣化時の対処方法と留意点
2) 鋼部材の座屈(2種類)のメカニズムと防止するための配慮点
3) 高炉セメントB種あるいはフライアッシュセメントB種を使用したコンクリートの共通する特徴と異なる特徴を2点ずつ
  説明
4) スランプ値で管理し締固めを要するコンクリートを使用した鉄筋コンクリート構造物の打込み、締固めの段階での充填
  不良の発生原因について1つ詳述し、発生を防ぐための留意すべき事項と留意する理由と対策を説明

2021年の出題
1) 鋼部材の破壊現象(2種類)の特徴と破壊防止のための留意点
2) 高力ボルトによる接合(2種類)の特徴と設計上の留意点
3) 鉄筋またはコンクリートいずれかの高強度材料について特徴と設計上の留意点
4) 既設コンクリート構造物のある損傷について状況を勘案したうえでの非破壊検査法(2種類)の原理と実施における留意点

過去の出題
 2020年度:各種鋼材、複合構造
 2019年度:座屈、溶接接合、腐食、疲労亀裂
となっています。

鋼構造に関しては損傷、破壊と検査、防錆、構造特性・強度(座屈)、材料強度、接合から出題されています。
コンクリートについては各種セメントの特徴、施工、検査法などとなります。鋼構造ほどの傾向性はないようです。

選択科目Ⅱ-2(600字×2枚)応用能力が問われる問題です。
2024年の出題
a) 業務の過程で、施工計画の前提条件に変更が生じ計画を見直し、施工時における構造物の安全性を再検討することが
 ある。制約条件の多い都市部の構造物の施工計画を担当するに当たり、下記の内容について記述せよ。
 ①対象構造物現地の状況及び条件の変更点を設定し、施工時における構造物の安全性を確保するために調査、検討すべき
 事項を複数上げ、その内容について説明せよ。
 ②業務を進める手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点。
 ③効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策。
b) 構造物の改築、改修、補修の施工時、既設部の施工の不具合や設計との不整合が現場で確認された場合、予定通り
 構造物の性能が確保できるかの判断と、確保されないと判断される場合の新たな対策の検討が必要となる。構造物を
 担当する技術者として業務を行うに当たり、下記の内容について記述せよ。
 ①改築・改修・補強の目的、不具合・不整合の内容を設定し、安全性若しくは耐久性を判断する調査事項と、性能を
 確保する検討事項を示し、技術的内容について説明せよ。
 ②業務の手順を列挙、項目ごとに留意、工夫を要する点
 ③業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方法

2023年の出題
a) 超過外力の作用を想定した構造物に対して
 ①対象とする構造物と超過外力を設定し、調査,検討すべき事項とその内容について説明、
 ②業務の手順と項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点
 ③効率的に行うための関係者との調整方策
b) 点検困難部の健全性を評価するに当たり損傷程度を推定する業務において、
 ①対象とする点検困難部と損傷を挙げ、損傷程度の推定、構造物の健全性を評価するための調査検討項目と内容
 ②業務を実施する手順と留意点、工夫すべき点
 ③効率的に行うための関係者との調整方策

2022年の出題
a) 既に設計された構造物に対して工期短縮を検討する業務を行うに当たり
 ①対象とする構造物と工期短縮方法を設定し、調査,検討すべき事項とその内容について説明、
 ②業務の手順と項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点
 ③効率的に行うための関係者との調整方策
b) 火災や車両の衝突等の突発的な作用による変状を受けた構造物について、部材の再利用を想定した調査を行うとして、
 ①対象とする構造物と突発的な作用を挙げ、調査検討項目と内容を説明、
 ②業務を実施する手順と留意点、工夫すべき点、
 ③効率的に行うための関係者との調整方策

2021年の出題
a) 建設中に発見された接合部の不具合に対する再発防止を実施するとして、
 ①接合部の不具合を設定し調査検討する項目を説明、
 ②不具合対策業務の手順と各留意点、工夫すべき点、
 ③効率的に行うための関係者との調整方策
b) 老朽化した構造物に対して耐震補強を行うことを想定し、
 ①対象とする構造物と老朽化の状況、その調査検討項目と内容、
 ②業務を実施する手順と留意点、工夫すべき点、
 ③効率的に行うための関係者との調整方策

従来からは品質、工程管理、設計変更などに対する改善や不具合対策に関する事項と、耐震補強、調査などの施工・実施、という二種類の問題が出されています。近年は想定外の作用による変状への対応が出題されています。オーソドックスな施工を効率的、かつ品質を確保する手法という観点でのまとめ、現地施工における一般的な注意項目をここにどう落とし込んでいくかという見方が必要となります。


選択科目Ⅲ(600字×3枚):問題解決能力と課題遂行の力が問われる問題です。

2024年の出題
Ⅰ) 高度経済成長期に建設されたインフラの維持管理にて建設段階では想定していなかった不具合が点検や補修工事等の
 維持管理段階で確認されている。構造物の計画・設計段階から維持管理の確実性及び容易さに配慮した具体的な対応が
 求められている。このような状況を考慮して、以下の問いに答えよ。
 (1) 構造物の計画設計段階において、維持管理上配慮しなければならない課題を3つ抽出し、それぞれの観点を明記した
 うえで、その課題の内容を示せ。(回答の際には必ず観点を述べてから課題を示せ。)
 (2) 最も重要と考える課題を1つ挙げ、最も重要とした理由、複数の解決策を、専門技術用語を交えて示せ。
 (3) 解決策に関連して新たに浮かび上がってくる将来的な懸念事項とそれへの対策にを示せ。
Ⅱ) 日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指すことを宣言して
 いる。
 (1) 構造物の設計、製作・製造、施工、維持管理、改修、解体において、CO2 削減を推進する上での課題を、多面的な
 観点から3つ抽出し、観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。
 (2) 抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を、専門技術用語を交えて示せ。
 (3) 解決策に関連して新たに浮かび上がってくる将来的な懸念事項と対応について示せ。

2023年の出題
Ⅰ) 労働人口の減少と継続的な技術技能の伝承、技術者の育成を図らなくてはいけない現状を踏まえ、
(1) 課題を多面的な観点から3っ抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その内容を示せ。
(2) (1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1っ挙げ、その課題に対する複数の解決策を、専門技術用語を交えて示せ。
(3) (2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
Ⅱ) 建設分野では,技術者の不足・高齢化や長時間労働是際に向けた働き方改革が課題であり、業務の効率化が求められ、
 進められている。このような状況を踏まえ次の問いに答えよ。
(1) 省力化や働き方改革に向けた業務効率化の取り組みにおいて3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、
その課題の内容を示せ。
(2) 抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1っ挙げ、その課題に対する複数の解決策を、専門技術用語を交えて示せ。
(3) (2)で示した解決策に関連し新たに浮かび上がってくる将来的な懸念事項と対応策を示せ。

2022年の出題
Ⅰ) 社会インフラに対し効果的に老朽化対策を進めるためには,限られた財源を有効に活用できる方策が重要である。この
ような状況を踏まえ,以下の問いに答えよ。
(1)老朽化対策を立案する場合、膨大な数の構造物に対策の優先順位をつけることが必要となるが、順位を決定するために
 解決すべき課題を多面的な観点から3っ抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1っ挙げ、その課題に対する複数の解決策を、専門技術用語を
 交えて示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考え
 を示せ。
Ⅱ) 建設分野では,原材料の調達,製造,施工までを行う多様な工種があり複雑を極める。そこで、 i-construction推進の方策の
 1つである最先端のサプライチェーンマネジメントの導入を掲げ、生産性向上を目指している。このことに関して次の問い
 に答えよ。
(1)建設分野において、サプライチェーンマネジメントをより積極的に推進するために多面的な観点から3つの課題を抽出し、
  それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1っ挙げ、その課題に対する複数の解決策を、専門技術用語を交えて示せ。
(3)前問(3)で示したすべての解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

2021年の出題
Ⅰ) 建設分野において、BIM/CIMモデルやICT技術の活用が求められる一方で、建設・維持管理の現場では、より一層、新材
料・新工法が適用され、品質の向上や作業の効率化が図られることに期待が持たれている。このような状況を踏まえ、鋼構造
及びコンクリートにかかわる技術者として以下の問いに答えよ。
(1)建設・維持管理の現場において、新材料・新工法を活用するために解決すべき課題を多面的な観点から3つ抽出し、それ
 ぞれの観点を明記したうえで課題の内容を示せ。ただしBIM/CIMモデルの活用は含めないものとする。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた
 考えを示せ。
Ⅱ) わが国では、大量の鋼構造物やコンクリート構造物の維持管理が社会問題となっている。特に、従来からの事後保全型
メンテナンスには限界が叫ばれ、持続可能なメンテナンスサイクルの実現に向けて新しいメンテナンス手法の導入やシナリオ
の転換が求められている。このような状況を考慮して以下の問いに答えよ。
(1)近年、予防保全型メンテナンスが期待されているものの、未だその推進は十分とは言い難いのが現状である。このような
 現状に対し、鋼構造及びコンクリートの技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、その内容を示せ
(2)抽出した課題のうち、あなたが最も重要と考える課題を1つ選択し、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)すべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

実際の業務を行うにあたり、労働人口の減少、働き方改革に伴う効率化,メンテナンスやサプライチェーン、さらにはBIM/CIMやi-consuructionなどのDXなどについてソフト、ハード、システム、運用など多面的にとらえているかを問うものです。
建設業界の抱えている課題(労働人口、働き方改革、i-consuruction)と建設技術の課題(メンテナンスの計画や技術導入、DX等)を大きな視点でとらえた問題となっています。